Vol.4 年齢に合わせた指導とは

子供たちの特徴

子供たちの能力が開花するか否かは、子供たちを取り巻く環境が最も重要なカギとなります。そして開花しやすい環境を作るのが、子供たちを取り巻く大人たち(両親、コーチ、先生など)の役割です。子供たちの発達する能力は、その時期によって異なります。その発達する能力の向上を「自然な形で最大限のサポートをすること」がポイントとなるのです。そのために、コーチは子供たちの成長の特徴をしっかりと把握しなくてはなりません。
全米サッカー協会(United States Soccer Federation・略称=USSF)では、U−6年代の子供たちの特徴を以下のようにまとめています。以下では、この年代における心理面と身体面における特徴をさらに挙げながら、指導コンセプトを紹介したいと思います。

USSFによるU-6年代の特徴

・集中力の間隔が短い
・「我」が強く出る(自分本位である)
・絶えす動き回っている
・精神的に傷つきやすい
・グループ活動に関心がない
・身体的、精神的にも男女の差はほとんどない
・手や足を思ったように動かすコーディネーションは未発達
・走ったり、ジャンプすることを好む
・大きくて柔らかいボールなどを好む。物を「つかむ」技能は、あまり発達していない
・歩行のバランスをうまくとることができる
・ペース配分ができない

好奇心がキーワード

この年代の子供たちは「好奇心」と「自己主張」の塊と言えると思います。どんなことに対しても興味を持っているため、集中したときのパワーはすごいものがあります。特に、自分がこれと決めたものに対する執着むはすさまじく、しつこいまでに固執するケースもあります。しかし、このような集中力は長くは続きません。
満面の笑みでボールを夢中になって追いかけていたと思ったら、目の前を飛ぶトンボに急に気が移り、「サッカーはどこへ?」というケースはよくあるものです。これは、子供たちがサッカーを嫌いになったからというわけではなく、好奇心か旺盛でいろいろなことに興味を持っている証なのです。したがって、好奇心をいかに刺激するかが、この年代の子供たちの指導をする上で重要なファクターとなります。
自己主張では、「自分はほかの友達よりもすごいんだぞ!」、「コーチやお母さんにほめられたい!」といったことを示したがるものです。グループの中でもこのような自己主張をするケースがよくあります。グループの中で自己主張できなかった場合は、家に帰って「自慢話」などをするかもしれません。大人は、このような子供たちの話にしつかりと耳を傾けてあげるべきです。そこでは否定的な意見を言うのではなく、ほめてあげることも必要です。
このような自己主張をするということは、子供たちがまだ「心(自分中心)の生活」から抜け出ていないからなのかもしれません。心の生活から、サッカーなどを通して徐々にグループでの生活に移行していくため、中には精神的にも不安定になってしまうケースもあります したがって、 コーチが子供といかにいい個人的な関係を作るかということも、大切な要素となるのです。この年代では、サッカーも好きだけど、コーチが好きで練習に来るという子供も多いものです

神経系の発達

身体的な側面から言うと、この年代は神経系の発達が非常に著しい時期です。これはスキャモンのグラフからもはっきりと分かります。したがって、この時期は神経系の発達をサポートするプログラムとコーチングが特に求められるのです。
その代表的な要素になるのが、さまざまな動作を行なうということです。緩急をつけたランニングや、関節の可動域を変化させるようなものです。こういったものを自然な形で取り入れることも一つの方法です。
目から入った情報に対する処理 (手足を動かす)能力も向上します。視覚から得た情報はまず脳の中に記憶されます。そして、これまで貯蔵(記億)されていた情報の中で同じようなものがないかを比較、選択し、見つけた段階で指示が出されます。その指示は、神経から筋肉を通して「動作」となるのです。

http://www.tamegorou.info/it/2643/attachment/sukyamon/ より引用

これらの要素は、 コーディネーション能力と深い関係があります。こういった視覚情報からの流れを刺激することで反応のスピードが早くなったり、未経験な動作を行なうことでさらに神経系の発達が促進され、 コーディネーション能力も高まっていくのです

コーディネーション能力を刺激するこの年代のトレーニング例として「鬼ごっこ」が挙げられます。鬼ごっこはさまざまな動作を行なったり、視覚情報からの反応を刺激したりするのに効果的なトレーニングの一つなのです。

文:平野淳 構成:井上直孝

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