Vol.5 話を聞く雰囲気作り

個人と集団の関係

まず、サッカーを実際に指導することを考える前に考える大事なことがあります。それは、集団をコントロール技術(能力)です。この年代の子供たちは、先にも述べた通り、好奇心と自己主張が強いものです。つまり、集団よりも「個」が優先されてしまい、集団としてまとまる能力は低いと言えます。その中で、集団をいかにコントロールするかは、コーチの力量次第と言っても過言ではありません。
私もこれまで多くの年代の子供たちを指導してきましたが、U−6の子供たちをまとめるには、心身ともに大変なパワーと知恵が必要だと思います。では、どうしたらいいのでしようか? いくつかのポイントを挙げたいと思います。
コーチが話すときのポイントは、子供たちが話を聞くような雰囲気を作ることです。そのためには、以下の点を意識するのがいいと思います ここで紹介するものは、U−6で特に注意を払わなくてはならないのですが、どの年代でも共通して言えることでもあると思います。

①話し始めがカギ

コーチがよく、「お前ら何してるんだ!」、「早く集まれ!」などと威圧的に子供たちに指示を出す光景を目にしますが、これはコーチが『ヘッダーシップ』を取っているだけで、子供たちの自主性を奪うことになります。子供たちがかなかなか集まらないような状况になるのは、 コーチ側にも原因があるのかもしれません。
コーチは『リーダーシップ』を持ち、子供たちが自然とコーチの話に耳を傾けるようにすることが理想です。そのために、全員が話を聞ける状態になってから話をするようにしましょう。子供たちがコーチの目を見ているか、体を向けているかを確認するようにします。「コーチの話を聞ける人は右手を挙げて」などとジェスチャーをまじえて話しかけるも一つの方法です。子供たちが「コーチはこれから何を話すんだろう?」と話を待っている状態が理想です。

②声の強弱を使い分ける

これは、それぞれのコーチの指導スタイルにもよりますが、小さい年代の子供たちを指導する上で、コーチは子供たち以上に明るく、元気がなくてはなりません。子供たちのパワーに負けていたら、コーチとして失格と言えるかもしれません。
ただし、「元気なだけ」でもダメです。声のトーンに強弱をつけたり、わざと小さな声で話したり、わざと小さな声で話したり、子供たちとの「駆け引き」も必要です。子供たちの様子を見て、うるさいときには、「よし、秘密会議でもするか!」などと子供たちが注目するきっかけを作ることもポイントの一つです。

③シンプルなコーチング

指導者は少しでも多くのことを子供たちに伝えたいと思うあまり、複数のポイントを1度に伝えようとすることがあると思います。しかし、 この年代の子供たちの集中は長く続かないものです。話が長くなると、集中できなくなる子供が多く出てきます。そうしなければ、一生懸命に説明したけれど、結局子供たちには何も伝わっていないということもあるかもしれません。
まずは、子供たちに「何を」「どのように伝えたいのか」を事前に整理しましょう。できるだけ短く説明できるに越したことはありません。ただし、時間が短いだけで説明そのものかできていないということも避けなくてはなりません。
トレーニングのオーガナイズの設定にも、いくつかのコツがあります。コツとは、子供たちがトレーニングに集中できる環境を作るためのものです。それらのポイントとして、以下の事項があります。

④安全管理

子供たちの安全を考えることは、ケガの防止だけでなく、練習の成功にもつながります。練習中は無駄な物はできるだけ省くようにするべきです。練習以外のこと(物) で子供たちの好奇心が刺激されることを避け、とにかく練習に集中させるにはこのような環境を作ることが必要です。必要な用具以外は、一定の場所にまとめておくといいでしょう。
例えば、ゲームをやるときにボールが散乱している状况では、子供たちが集中してできないのではないでしようか? 集中できない環境は、安全性も守られていないと言えると思います。
コーチは、練習でマーカーやコーンなどの用具をふんだんに使うことに美徳を覚えてはいけません。U-6年代の子供たちは、難しい説明やルールを把握する能力に長けているわけではありません。オーガナイスが複雑になってしまうとルールを覚えるための練習になってしまい、結局、子供たちは練習から何も得られなくなってしまうこともあります。
それを避けるために、子供たちが理解できるようにオーガナイズを工夫することが必要です。子供たちの人数とグリッドの大きさなどのバランスも考えるようにしましょう。グリッドの大きさは年齢が低くなるにつれて、余裕を持たせる( 広いスペースをとる)といいでしょう。
そして、マーカーなどの色をうまく使い分けることもポイントとなります。子供たちが一目で「これは『丸』」だと判断できるなど、分かりやすく設定しましょう。特に、複数のグリッドを作る際はそれぞれのグリッドの色を分け、隣り同士のグリッドは色を変えるのもポイントになります。また、ドリル練習などでスタートの位置とゴールの位置があるような場合は、それぞれで色を変えるようにしましょう。

⑤運動量の確保

U-6年代の1回の練習時間は、基本的に60分以内が適していると思います。チームによって状況が異なると思いますが、我々のスクールでは50分で練習を終えるようにしています。
もちろん、練習後もボールを蹴りたい子供たちにはコーチも付き合ったり、子供たちだけでプレーする時間を作るようにはしていますが、チームとしての練習時間は長くとりません。この50分という時間で子供たちの運動量を確保するようにします。運動量を確保するためには、子供たちが全身を使って動いている時間をできるだけ多く確保する必要があると思います(結果的に、これらは神経系のトレーニングになっています)。
ときどき見られる悪い例として、一つひとつの練習で長蛇の列となり、実際にプレーするまでの待ち時間が長いというものがあります。これでは、子供たちの集中力が続きませんし、運動量も確保できません。列を増やすなど、オーガナイズの工夫をしてできるだけ待ち時間は作らないことが理想です。そして、「ACTIVE(アクティブ=体を動かす)→REST(レスト=休む)」の流れをテンポ良く繰り返すようにしましょう。子供たちの表情を見ながら、練習の強度にアクセントを入れることにより、メリハリのある練習ができるようになるでしょう。

文:平野淳 構成:井上直孝

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