Vol.6 「根」を張る大切さ

広く浅いアプローチ

U-6年代は子供たちの将来を考えたとき、非常に重要な時期と言えます。この年代で、しっかりした「根」を張ることが子供たちの将来の可能性を広ける源になると思います。また、この年代の練習を考えるとき、サッカーという枠に捉われず「スポーツによる教育」という広い視野で見ることも必要でしょう。
正確なインステップキックなどの技術を教えることも、ある面では大切なことです。しかし、それ以上に、「サッカーボールとは何だろう?」、「こうしたら思うように操れるんだ!」というようにボールに親しませること、自分のフィーリングに合ったボール扱いを習得させることが必要だと思います。
そして、自分自身でサッカーボールの魅力を発見し、サッカーが「楽しい」、「面白い」、「もっと上手になりたい」という「心」を芽生えさせることがこの時期には大切なのです。この心こそ、のちに特徴ある「個性」を育てることにつながるのです。U-6年代のコーチの一番の役割は、 そのきっかけを与えることなのかもしれません。
指導コンセプトの大きな絵としては、樹木の根をイメージすれば分かりやすいかもしれません。木の根は末広がりで幅広くなっているものです。サッカーでも同様で、チーム練習では1つの技術に特化するのではなく、広く残い内容で多くの経験を子供たちに与えることが大切でしょう。
そのべースとなるのが、 コーディネーション・トレーニングとテクニカル・トレーニング (ボールフィーリング、ボールコントロール) です。この要素を幅広くとらえて行なうことが成功の秘けつなのかもしれません。

長期ビジョンを持つ

コーチにとっては、この年代の子供の指導では目に見える「成果」をすぐに得にくい面があり、難しい部分もあるでしょう。しかし、成果がなかなか見えなくても10年後、20年後の子供たちの姿をイメージし、責任を持って子供たちを指導することが必要です。
最近では、幼稚園生のサッカー大会なども盛んになっています。子供たちだけでなく、コーチや保護者が試合に夢中になることは素晴らしいことだと思います。しかし、コーチや保護者が必要以上に試合を意識して子供たちにプレーを選択させるようなことは、避けたほうがいいと思います。
この年代は、密集してボールを蹴り合う「だんごサッカー」が自然の形です。密集した中で、 子供たち自身が工夫し、突破を図ろうとするものです。これは、子供たちのボールへの関心が強いことから起こる現象です。したがって、コーチはシステムを固定したり、ある選手に特別な役割を与えたりすべきではありません。あくまでも自然の流れを大事にしてあげることが必要だと思います。
子供たちが自然にプレーする中から自分自身で発見した「きっかけ」は自信につなかると同時に、サッカーへの関心を高める要因ともなるのです。この年代の子供たちには、目先のことやサッカーという枠にとらわれず、長期的なビジョン、 広い視野で接していくことが要なのだと思います。
この年代の具体的なトレーニングの流れを以下にまとめました。我々はこの流れをベースにして、トレーニングを組み立てています。ただし、 それぞれのトレーニングにかかる時間がずれることは、現場の常と言っていいでしよう。そのときは、子供たちの雰囲気を見ながら、調整していくようにします。

U-6年代におけるトレーニングの流れ(例)

①コミュニケーション(5分)
・あいさつなどを通し、子供たちの雰囲気などを観察
②ウォーミングアップ(10分)
・グループとしてのプログラム
③休憩(5分)
・給水タイムを作る。ただし、気候によってタイミングは異なる
④テクニカル・レーニング(10~ 15分)
・ボールフィーリングなどのボールワークが中心
・基本的にはクローズドスキルの練習がメインになる
⑤SSG (ミニゲーム、15~20分)
・3対3や4対4を中心に実施。グリッドの大きさなどにも注意を払う
⑥コミュニケション(5分)
・ケガ人の有無を確認し、練習前後の子供たちの雰囲気を観察

文:平野淳 構成:井上直孝

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