Vol.2 子どもたちとの関わり方②

オーバーコーチングの落とし穴

ジュニア年代のコーチは、熱心なコーチほど「(子供たちに)あれもこれも教えたい!」、「少しでも(子供たちを)変えてやりたい!」と考えるものです。しかし、このようなコーチに限って、「オーバーコーチング(教えすぎ)」になってしまうことが多いのではないでしょうか。
コーチが多くのことを一度に伝えようとしても、子供たちにはそれぞれ「吸収力の許容量」があります。許容量を超えてしまうと、コーチの情熱や好意が逆効果になってしまうケースも多々あるのです。オーバーコーチングになってしまっては、子供たちが拒絶反応を示して聞く耳が遠ざかるだけです。
また、いろいろと伝えすぎることによって、自らの意思で判断して行動することが少なくなり、自主性が育たなくなることも考えられます。なので、まずコーチは指導を強調するのではなく、子供たちを観察することから始めるのを推奨します。
これには我慢や辛抱が必要とされます。言いたいことをすべて言うのではなく、心にしまっておく勇気もコーチには必要かもしれません。1日のトレーニングで、子供たちの将来が決定するわけではないのです。

サッカー人生をスタートしたばかりのこの年代では、失敗はつきものです。逆に失敗から子供たちは学んでいくものです。コーチが子供たちに求めることの数バーセントもできないかもしれません。しかし、そこで「うちの子供たちはダメだ……」と投げ出すのではなく、我慢し、冷静に子供たちをどう修正すれば良いか、把握するようにしてください。
また、指導をするとしても、ジュニア年代では言葉よりも行動で示す方が良いのではないでしょうか。コーチが「良い見本」を示すことは、子供たちのサッカー人生に少なからぬ好影響を与えるものです。良い見本を見せ、「子供たちが目で見て感じること」は非常に重要だと思います。

フェアプレー精神

国際試合などの選手入場の場面で、先頭に立った子供たちがフェアプレーのフラッグを持って入場し、その重要性を伝えているシーンを目にすることがあると思います。「フェアプレーの精神」というのも、サッカーがここまで大きく発展した大きな要素の一つだと言えます。
フェアプレーの精神を考える際に大切になってくるのが、「ルール」です。ルールを守ろうとすることがフェアプレーの精神につながっていくのです。サッカーだけでなく社会全体でもそうですが、ルールがあって初めてお互いの個性を尊重することができるようになると思います。もし、ルールがなかったらサッカーというスポーツも成立しません。
ジュニア年代の選手が行なうサッカーのルールについて言えば、特に幼稚園生や小学校低学年ではオフサイドなどの細かいものまでは必要ありません。「相手にケガをさせるようなプレーはしない」、「両チームが公平にプレーする」、「サッカーをしている全員が楽しくプレーできる」といったことをまずはしっかりと理解させ、その上で「手でポールを使わない」などの簡単な約束を理解させることが必要となるのです。

また、敬意を払うということも大切です。ジュニア年代の大会でもときどき見られるのが、レフェリーの判定に対してプロ選手のまねをしているのか、両手を広げて不服をあらわにしているケースです。しかし、レフェリーも人間。ミスジャッジはつきものです。
Jリーグなどでも、選手がレフェリーの判定に不満を表に出すケースが多く見られますが、選手も試合中に何度もミスをしてしまうものです。それと同じことで、レフェリーも必ずミスを犯してしまうものだと思います。まずはその部分を理解する必要かあるのではないでしょうか。子供たちにはレフェリーの重要性を伝え、敬意を払うように伝える必要があります。
それと同様に、試合は相手チームがあって初めて成立するものです。相手選手は「敵」ではありません。相手選手もサッカーファミリーの一員、仲間だと言えます。相手に対しても敬意を払うべきですし、相手を侮辱するような行為は絶対に避けるべきです。そのような場面に打遇したら、コーチはしっかりと選手をしつける必要があると思います。

文:平野淳 構成:井上直孝

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